自分との対話
僕が服役していた刑務所には約1500人が収容されていました。
中には大きな事件で新聞に取り上げられた人が、
1年後に職業訓練の席で隣に座っていたりとかってこともありましたね。
中には有名大学に入学後、犯罪を犯し逮捕されてこの刑務所に入ってきた同僚もいました。
学生であれば誰もが羨むような有名大学。
楽しい学生生活が待っていたのに、何がその人をを狂わせてしまったのでしょうか・・・
話を聞いてみると、「そんなことで!?」と思うようなことでした。
人はついその場しのぎで大事なことを決断してしまい、
あとで後悔してもなかなか引き戻すことができず、
惰性でズルズルと流されてしまうものです。
それは1人で自分に向き合う時間がないから。
そして何をするにしても、決めるにしても自分の気持ちというより、
人との関係や会話の中で考えてしまうものです。
生活をするためには仕事をしなくてはならないが、
忙しくなってきたり、人間関係に悩んだりすると、
様々な迷いに振りまわされてしまい、物事を冷静に捉えることができなくなってきます。
刑務所に入ってくる受刑者の大半はそんな人達だ。
自分を見つめ直すための「自分探しの旅」なんていうのが一時期流行り、
僕も何度か旅に行ったものだが、本当の自分を見つけることなんてできなかった、、、
しかし何年かけても探すことができなかった本当の自分に、
刑務所に入って見つけることができました。
本当の自分に会いたければ、自分を過酷な状況に置いて、
自分と対話することが必要であるということに気付いたんです。
自分のために良い人生を作りたいのであれば、人間関係から遠ざかる時間が必要だ。
いつも人間関係の中にどっぷりとつかっていると、本当に自分がしたいことが見えなくなってきます。
シャバで生活してると部屋や職場のPCにメールが届き、
電車に乗っていてもスマホにLINEが届いたりして、
そういったものに取り囲まれていればゆっくり考えることなんてできない。
しかし刑務所は作業中以外はひたすらボーとして自分と対話するしかありません。
そういう場所に自分を置いてみると、シャバという刺激から開放されて心が自由になるんです。
自分がどう生きていきたいかが見えてくる。
刑務所は自分と対話ができる場所なんです。
忙しい日常から抜け出して、見失っていた自分を再び取り戻せる場所が刑務所。
もし20年前に民官刑務所が存在し、
ホームページ等で矯正教育の指導内容、職業訓練の情報が公開されていたら、
お金を払ってでも入りたいと思ったに違いない。
そしたら会社を倒産させることも離婚することもなかっただろう。
それだけ5年間の受刑生活は意味のあるものだった。
経営者や官僚に政治家は、
刑事施設に最低2年間は入って教育を受けるという制度があれば、
企業や政治家による不正や脱税といった犯罪は間違いなく減るだろう。
韓国の兵役に似たような制度を作るべきだ。
訳の分からない団体が設立されたりとか、結局「政治とカネ」なんだよね。
そこに必らず「不正」があるものだ。
だから現在執筆している原稿のタイトルは
「全国犯罪者予備軍600万人に告ぐ 刑務所には金を払ってでも行け!」
全国に野放しになっている犯罪予備軍600万人がターゲット読者層だ。
1年間に立件される人口が300万人、
刑務所に入るのはその中のたった2%の6万人。
残りの294万人は不起訴、執行猶予などで社会に野放しになります。
そして驚くのが運よく逮捕されない人がその倍の300万人以上はいるということ。
合わせて約600万人の犯罪者予備軍が社会に野放しになってるということです。
自分との対話してますか?
今日も生きてることが奇跡です。